医療事務のための平成20年度の診療報酬改定の概要と解説



がん性疼痛緩和指導管理料、緩和ケア診療加算、緩和ケア病棟入院料、薬剤服用歴管理指導料〜緩和ケアの普及と充実〜

平成20年度 診療報酬改定の概要と解説

平成20年度 診療報酬改定の概要と解説最我が国の医療の中で今後重点的に対応していくべきと思われる領域の評価の在り方について検討する視点≫がん性疼痛緩和指導管理料、緩和ケア診療加算、緩和ケア病棟入院料、薬剤服用歴管理指導料

がん性疼痛緩和指導管理料、緩和ケア診療加算、緩和ケア病棟入院料、薬剤服用歴管理指導料
〜緩和ケアの普及と充実〜
産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担の軽減(13)
患者から見て分かりやすく、患者の生活の質(QOL)を高める医療を実現する視点(11)
質の高い医療を効率的に提供するために医療機能の分化・連携を推進する視点(16)
我が国の医療の中で今後重点的に対応していくべきと思われる領域の評価の在り方について検討する視点(12)
医療費の配分の中で効率化の余地があると思われる領域の評価の在り方について検討する視点(5)
後期高齢者の診療報酬について(12)
がん患者及びその家族が、できる限り質の高い療養生活を送ることができるようにするために重要となる緩和ケアについて、必要な評価を行う。
■ 具体的な内容
  1. がん性疼痛の緩和を目的に医療用麻薬を投与しているがん患者に対して、WHO方式のがん性疼痛治療法に従って、計画的な治療管理と療養上必要な指導を継続的に行い、麻薬を処方することに対する評価を新設する。
    がん性疼痛緩和指導管理料 100点
    [算定要件]
    がん性疼痛の症状緩和を目的として麻薬を投与しているがん患者に対して、WHO方式のがん性疼痛の治療法(がんの痛みからの解放−WHO方式がんの疼痛治療法−第2版)に基づき、副作用対策や疼痛時の対応を含めた計画的な治療管理や当該薬剤の効果等に関する説明を含めた療養上必要な指導を行い、麻薬を処方する場合に算定する
  2. 緩和ケア診療加算について、緩和ケアの質の向上を図るため、専任の薬剤師の配置を要件に追加し、加算を引き上げる一方、がん患者の地域での療養生活の質の向上を図るため、入院医療に専従とされている医師が外来診療に当たることができるよう、その勤務形態の要件を緩和する。
    [算定要件]
    緩和ケアを要する患者に対して、必要な診療を行った場合に加算する
    現 行 改正案
    【緩和ケア診療加算】(1日につき)
    250点
    (1) 以下の3名から構成される緩和ケアに係る専従のチームが設置されていること
    ア 身体症状の緩和を担当する常勤医師イ 精神症状の緩和を担当する常勤医師
    ウ 緩和ケアの経験を有する常勤看護師
    (2) (1)にかかわらず、(1)のア又はイに掲げる医師のうちいずれかは緩和ケアチームに係る業務に関し専任であって差し支えないものとする
    【緩和ケア診療加算】(1日につき)
    300点
    (1) 以下の4名から構成される緩和ケアに係る専従のチームが設置されていること
    ア 身体症状の緩和を担当する常勤医師
    イ 精神症状の緩和を担当する常勤医師
    ウ 緩和ケアの経験を有する常勤看護師
    エ 緩和ケアの経験を有する薬剤師
    (2) (1)にかかわらず、(1)のア又はイに掲げる医師のうちいずれか、またエの薬剤師については、緩和ケアチームに係る業務に関し専任であって差し支えないものとする
    た、(1)に掲げる緩和ケアチームに係る業務に関し専従である医師であっても、専門的な緩和ケアに関する外来診療を行うことを目的に、連携している他の保険医療機関からの専門的な緩和ケアを要する紹介患者を外来で診療を行うことについては、差し支えのないものとする(ただし、就労時間の半分を超えないこと。)
  3. 緩和ケア病棟入院料について、緩和ケア病棟が終末期のケアに加え、一般病棟や在宅では対応困難な症状緩和、在宅療養の支援等の機能をバランス良く備えたものとするため、位置付けにおいて明確化するとともに、地域の在宅医療を担う医療機関との連携や、24時間連絡を受ける体制等の要件を新たに追加する。
    現 行 改正案
    【緩和ケア病棟入院料】(1日につき)
    (1) 緩和ケア病棟は、主として末期の悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群の患者を入院させ、緩和ケアを行う病棟であり、当該病棟に入院した緩和ケアを要する末期の悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者について算定する
    (2) 緩和ケア病棟における末期悪性腫瘍患者のケアに関しては、「がん末期医療に関するケアのマニュアル」(厚生省・日本医師会編)を参考とする
    【緩和ケア病棟入院料】(1日につき)
    (1) 緩和ケア病棟は、主として苦痛の緩和を必要とする悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者を入院させ、緩和ケアを行うとともに、外来や在宅への円滑な移行を支援する病棟であり、当該病棟に入院した緩和ケアを要する悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者について算定する
    (2) 緩和ケア病棟における悪性腫瘍患者のケアに関しては、「がん緩和ケアに関するマニュアル」(厚生労働省・日本医師会監修)を参考とする
    (3) 緩和ケア病棟入院料を算定する保険医療機関は、地域の在宅医療を担う医療機関と連携を行うこと。連携している診療所が居宅において診療を行っている患者の緊急時においては、その患者を受け入れることができる体制を確保すること
    (4) 緩和ケア病棟入院料を算定する保険医療機関は、連携している診療所の患者に関し、緊急の相談等に対応できるよう、24時間連絡を受ける体制を整えること
    (5) 緩和ケア病棟においては、連携する医療機関の医師、看護師等に対する病棟での実習を伴う専門的な緩和ケアの研修を行っていること
  4. 介護老人保健施設や療養病床において、がん患者の疼痛緩和のために医療用麻薬を保険医療機関の医師が処方した場合に算定できることとし、対象を拡大する。
    併せて、保険医療機関の医師の処方せんに基づき保険薬局で交付することができる注射薬及び特定保険医療材料を追加する。
    薬剤例:クエン酸フェンタニル製剤、H2遮断剤 等
  5. 在宅及び外来患者の緩和ケアを推進するため、以下の薬剤師の取組を進める。
    (1) 在宅患者の場合
    在宅患者訪問薬剤管理指導料の麻薬管理指導加算の算定要件として、薬剤師が、患者又はその家族等に対する定期的な残薬の確認及び廃棄方法に関する指導を行うことを追加する。
    (2) 外来患者の場合
    現行の調剤報酬における薬剤服用歴管理料の麻薬管理指導加算について、麻薬の服用及び保管の状況、副作用の有無等の確認を算定要件とするとともに、その評価を引き上げる。
    現 行 改正案
    【薬剤服用歴管理料】
    麻薬管理指導加算 8点
    注 麻薬の服用に関し、必要な薬学的管理及
    び指導を行った場合
    【薬剤服用歴管理指導料
    麻薬管理指導加算 22点
    注 麻薬の服用に関し、その服用及び保管の
    状況、副作用の有無等について患者に確認
    し、
    必要な薬学的管理及び指導を行った場
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■ 解説
WHO方式のがん性疼痛治療法に従って、計画的な治療管理と療養上必要な指導を継続的に行い麻薬処方を評価するがん性疼痛緩和管理指導料が新設されました。
チームでの緩和ケアを評価した緩和ケア診療加算は点数が引けあげられ、要件に緩和ケアの経験を有する薬剤師(専任)を追加して医師2名、看護師1名の3人から4人のチームに変更されました。
同加算の届出に当たって大きなネックであった2人の医師のうち1人は専従おちう要件は「例外として紹介患者を外来で診療を行うことについては差し支えないものとする(ただし、就労時間の半分を超えないこと)」と緩和されました。

また、緩和ケア病棟入院料(ホスピス病棟)は終末期のケアに加えて一般病棟や在宅では対応困難な症状緩和、在宅療養の支援等の機能をバランス良く整えたものとするため、位置づけを明確化と地域の在宅医療を担う医療機関との連携や24時間連絡を受ける体制等の要件を新たに追加しました。

その他に介護老人保健施設や療養病床で、医療用麻薬を医療機関の医師が処方した場合は算定できることになりました。
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