医療療養病棟等の評価に係る見直し |
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- 平成18年度慢性期入院医療の包括評価分科会における医療区分等の妥当性及び医療療養病棟の役割に係る検討結果を踏まえて、療養病棟入院基本料等の見直しを行う。
- 長期入院患者等が、居宅等での療養を希望する場合には、医療機関による円滑な退院を支援するための取組が重要であるため、退院調整のための体制整備の評価を新設する。
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■ 具体的な内容 |
- 1 療養病棟入院基本料及び有床診療所療養病床入院基本料の基準及び加算の見直し
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- (1) 医療区分・ADL区分の評価方法の簡素化
- 原則として、患者病態の変化時に、医療区分及びADL区分の評価・記録を行う。
- (2) 医療区分の評価項目の見直し
- ア 「酸素療法」については毎月、酸素療法を必要とする病態かどうか確認を行い、診療録等に記載する。
イ 「うつ症状」及び「他者に対する暴行」については、医師を含めて原因や治療方針等について検討を行い、治療方針に基づく必要なケアについて実施した内容を診療録等に記載する。
ウ 「脱水」及び「おう吐」については、発熱を伴うものとする。
- (3) 認知機能障害加算の廃止
- 医療区分2、ADL区分1の患者で、認知機能障害のある場合の加算(1日につき5点)を廃止する。
- (4) 褥瘡評価実施加算 15点(1日につき)
- ADLの低下や、それに伴う長期臥床等の患者については、褥瘡の発症リスクが非常に高いことから、ADL得点が高く褥瘡発症のリスクが高い患者に対して、患者単位で経時的・継続的に褥瘡の発生割合等の測定を行っていることを評価し、加算を創設する。これにより、各病棟における褥瘡の発症予防等の取組が促進され、医療の質の向上が期待される。
[算定基準]
ADL区分3に該当する患者に対して褥瘡の発生割合を患者単位で経時的・継続的に測定・評価し、その記録を診療録等に記載していること
(5) 医療の質の評価へ向けた取組の促進将来的に医療の質による評価を行うことを目的として、病棟単位で治療・ケアの質を反映できる事項について継続的に測定・評価することを義務付ける。
- (5) 医療の質の評価へ向けた取組の促進
- 将来的に医療の質による評価を行うことを目的として、病棟単位で治療・ケアの質を反映できる事項について継続的に測定・評価することを義務付ける。
- 2 療養病棟入院基本料の見直し
- 医療経済実態調査結果等を踏まえて、療養病棟入院基本料の評価を引き下げる。なお、医療区分1・ADL区分3については、中医協の議論を踏まえて配慮する。
(現行)医療区分、ADL区分における入院基本料
療養病棟入院基本料
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医療区分1 |
医療区分2 |
医療区分3 |
ADL区分3 |
885点 |
1,344点 |
1,740点 |
ADL区分2 |
764点 |
1,344点 |
1,740点 |
ADL区分1 |
764点 |
1,220点 |
1,740点 |
↓↓↓
- (改正案)医療区分、ADL区分における入院基本料
療養病棟入院基本料
(※医療区分1・ADL区分3については、中医協の議論を踏まえて配慮する。)
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医療区分1 |
医療区分2 |
医療区分3 |
ADL区分3 |
885点 |
1,320点 |
1,709点 |
ADL区分2 |
750点 |
1,320点 |
1,709点 |
ADL区分1 |
750点 |
1,198点 |
1,709点 |
- 3 退院調整加算の新設
- 患者の同意の下、退院支援に係る計画を立案した場合及びその計画に基づき退院できた場合の評価を新設する。
(1) 療養病棟入院基本料、結核病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(結核病棟)、有床診療所療養病床入院基本料を算定する病床に入院している患者又は後期高齢者特定入院基本料を算定している患者
ア 退院支援計画作成加算 100点(ただし、入院中1回に限る。)
イ 退院加算 100点
(2) 障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料を算定する病床に入院している患者
ア 退院支援計画作成加算 100点(ただし、入院中1回に限る。)
イ 退院加算 300点
(3) 平成20年3月31日に障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料を算定する病床に入院していた脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者
退院時に(2)のイに加えて、500点加算(平成22年3月31日まで)
[施設基準]
- 病院では、入院患者の退院に係る調整・支援に関する部門が設置されており、退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は社会福祉士が1名以上配置されていること
- 有床診療所では、退院調整に関する経験を有する専任の看護師、准看護師又は社会福祉士が1名以上配置されていること
- 退院支援に関して患者の同意のもと、以下を実施していること
(1) 入院早期に、退院に関する支援の必要性の評価を行っていること
(2) 支援の必要性が高い患者について、具体的な支援計画を作成すること
(3) 支援計画に基づいて患者又は家族に支援を行うこと
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■ 解説 |
療養病棟は医療経済実態調査でまだまだ利益率が高いとのことで、14点〜31点の引き下げとなりました。
ただし、医療区分は低いが介護度が高い医療区分1、ADL区分3だけは、点数が据え置きになりました。
このように前回改定に続いて療養はマイナス改定になりました。
要件では、現在は毎日の実施が義務付けられている医療区分及びADL区分の評価・記録は患者病態の変化時に行うとされました。
また、「酸素療法」「うつ症状」及び「他者に対する暴行」については、そのエビデンス等をカルテ記載や「脱水」及び「おう吐」は発熱を伴うものに限定されました。これは病院のモラルハザード(倫理の欠如)による意図的なアップ医療区分を防止するためと考えられます。
他にも認知機能障害加算の廃止、褥創評価実施加算が新設されます。
「医療の質の評価へ向けた取組の促進」として、「病棟単位で治療・ケアの質を反映できる事項について継続的に測定・評価することを義務付ける」とされたました。これはQI(質の指標)による点数評価導入に向けての基礎整備と考えられています。その病院へ入院してからADL低下や尿路感染、褥創の患者が多くなったりするのは病院のケア自体に、問題があるのではないか?という考えです。
さらに、療養型では退院調整加算を新設して患者の同意の下で退院支援に係る計画を立案した場合及びその計画に基づき退院できた場合の評価が新設しされました。
療養型にも退院に関する取組を点数評価するという考えが導入されています。
療養型では退院支援計画作成加算100点(入院中1回に限る)、退院加算100点を設定しましたが、平成20年3月31日に障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患療養病棟入院料を算定する病床に入院していた脳卒中の後遺症患者及び認知症の患者は退院加算300点+500点という高い点数を配分して同病棟から退院を促しています。
この担当として退院調整に関する経験を有する専従の看護師又は社会福祉士が1名以上配置とされました。
社会福祉士が要件になりました。 |
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