医療事務のための平成20年度の診療報酬改定の概要と解説



外来迅速検体検査加算、検体検査判断料、検体検査管理加算〜検査の評価体系の見直し〜

平成20年度 診療報酬改定の概要と解説

平成20年度 診療報酬改定の概要と解説患者から見て分かりやすく、患者の生活の質(QOL)を高める医療を実現する視点≫外来迅速検体検査加算、検体検査判断料、検体検査管理加算

外来迅速検体検査加算、検体検査判断料、検体検査管理加算〜検査の評価体系の見直し〜
産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担の軽減(13)
患者から見て分かりやすく、患者の生活の質(QOL)を高める医療を実現する視点(11)
質の高い医療を効率的に提供するために医療機能の分化・連携を推進する視点(16)
我が国の医療の中で今後重点的に対応していくべきと思われる領域の評価の在り方について検討する視点(12)
医療費の配分の中で効率化の余地があると思われる領域の評価の在り方について検討する視点(5)
後期高齢者の診療報酬について(12)
医療の根幹をなす各種検査は診断や治療に必須のものであり、その質の確保は重要な課題となっている。しかしながら、必要な検査が必要な時に速やかに実施できない状況は、診療の障害であるとともに、患者の不利益につながることとなるため、検査の迅速性や24時間対応等について重点的な評価をする一方、判断料を見直すなど、検査の評価体系の一部を見直す。
■ 具体的な内容
外来において実施する迅速な検査や24時間対応が可能な体制についての評価を引き上げる一方、判断料の評価を引き下げる。
現 行 改正案
【外来迅速検体検査加算】 1点
入院中の患者以外の患者に対して実施した
すべての検体検査の結果について、検査実施
日のうちに説明した上で文書により情報を提
供した場合に算定する。(5項目まで)
【外来迅速検体検査加算】 5点
入院中の患者以外の患者に対して実施した
以下の検体検査の結果について、検査実施日
のうちに説明した上で文書により情報を提供
した場合に算定する。(5項目まで)
外来迅速検体検査加算が算定できる検査項目は、こちら
↓↓↓

厚生労働大臣が定める検査項目(別表第九の二)
区分番号 検査項目
D000 尿中一般物質定性半定量検査
(院内で行った場合に算定)
D002 尿沈渣顕微鏡検査
(院内で行った場合に算定)
D003
糞便検査
8.ヘモグロビン定量
D005 血液形態・機能検査
1.赤血球沈降速度測定
(院内で行った場合に算定)
6.末梢血液一般検査
9. ヘモグロビン A1c(HbA1c)
D006 出血・凝固検査
1.プロトロンビン時間測定
11.線維素分解産物(FDP)測定
15.D-Dダイマー定量
D007 血液化学検査
1.総ビリルビン
1.総蛋白
1.アルブミン
1.尿素窒素(BUN)
1.クレアチニン
1.尿酸
1.アルカリフォスファターゼ
1.コリンエステラーゼ (ChE)
1.γ-グルタミールトランスペプチダーゼ (γ-GTP)
1.中性脂肪
1.Na及びCl
1.K
1.Ca
1.グルコース
1.乳酸脱水素酵素(LDH)
1.クレアチン・フォスフォキナーゼ(CPK)
4.HDL-コレステロール
4.総コレステロール
4.グルタミック・オキサロアセティック・トランスアミナーゼ(GOT)
4.グルタミック・ピルビック・トランスアミナーゼ(GPT)
5.LDL-コレステロール
14.グリコアルブミン
D008 内分泌学的検査
7.甲状腺刺激ホルモン(TSH)精密測定
10.遊離サイロキシン(FT4)精密測定
10.遊離トリヨードサイロニン(FT3)精密測定
D009 腫瘍マーカー
2.癌胎児性抗原(CEA)精密測定
2.α-フェトプロテイン(AFP)精密測定,
5.PSA精密測定
6.CA19-9精密測定
D015 血漿蛋白免疫学的検査
1.C反応性蛋白(CRP)定量
D017 排泄物,滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査
3.その他のもの
この表を簡単に印刷できます。
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厚生労働大臣が定める検査項目(別表第九の二)

医師会Q&Aより抜粋
Q44.外来迅速検体検査加算の算定に当たっては、当日実施した別に厚生労働大臣が定める検体検査
(特掲診療料の施設基準等の別表第九の二に掲げる検体検査(参考資料P.723))のすべてについて、
検査実施日のうちに患者に対して文書により情報提供する必要があるのか。
A44.そのとおり。当日実施した別に厚生労働大臣が定める検体検査のうち、1つでも検査実施日のうちに患者に対して
文書による情報提供が行われなかったものがある場合には、
実施したすべての検体検査について外来迅速検体検査加算は算定できない。


現 行 改正案
【検体検査判断料】
1 尿・糞便等検査判断料 34点
2 血液学的検査判断料 135点
3 生化学的検査(T)判断料 155点
4 生化学的検査(U)判断料 135点
5 免疫学的検査判断料 144点
6 微生物学的検査判断料 150点
【検体検査判断料】
1 尿・糞便等検査判断料 34点
2 血液学的検査判断料 125点
3 生化学的検査(T)判断料 144点
4 生化学的検査(U)判断料 144点
5 免疫学的検査判断料 144点
6 微生物学的検査判断料 150点

現 行 改正案
【検体検査管理加算】
イ 検体検査管理加算(T) 40点
ロ 検体検査管理加算(U) 300点
検体検査管理加算(T)の施設基準
検体検査管理加算(U)のA〜Eまで満た
すこと。
検体検査管理加算(U)の施設基準
@ 臨床検査を専ら担当する常勤の医師が1
名以上いること。なお、臨床検査を専ら担
当する医師とは、勤務時間の大部分におい
て検体検査の判断の補助を行うとともに、
検体検査全般の管理・運営に携わるものを
いい、他の診療等を行っている場合はこれ
に該当しない。
A 院内検査に用いる検査機器及び試薬の全
てが受託業者から提供されていないこと。
B 次に掲げる緊急検査が当該保険医療機関
内で常時実施できる体制にあること。
(ア)血液学的検査のうち末梢血液一般検査
(イ)生化学的検査
(ウ)免疫学的検査
C 定期的に臨床検査の精度管理を行っていること。
D 外部の精度管理事業に参加しているこ
と。
E 臨床検査の適正化に関する委員会が設置
されていること。
【検体検査管理加算】
イ 検体検査管理加算(T) 40点
ロ 検体検査管理加算(U) 100点
ハ 検体検査管理加算(V) 300点
検体検査管理加算(T)の施設基準
検体検査管理加算(V)のB〜Eまで満た
すこと。
検体検査管理加算(U)の施設基準
臨床検査を担当する常勤の医師が1 名以上
いること。なお、臨床検査を担当する医師は
検体検査の判断の補助を行うとともに、検体
検査全般の管理・運営に携わるものをいい、
院内検査に用いる検査機器及び試薬の管理に
ついても携わるものであること。
検体検査管理加算(V)のB〜Eまで満た
すこと。

検体検査管理加算(V)の施設基準
@ 臨床検査を専ら担当する常勤の医師が1
名以上、常勤の臨床検査技師が4名以上い
ること。なお、臨床検査を専ら担当する医
師とは、勤務時間の大部分において検体検
査の判断の補助を行うとともに、検体検査
全般の管理・運営に携わるものをいい、他
の診療等を行っている場合はこれに該当し
ない。
A 院内検査に用いる検査機器及び試薬の全
てが受託業者から提供されていないこと。
B 次に掲げる緊急検査が当該保険医療機関
内で常時実施できる体制にあること。
(ア)血液学的検査のうち末梢血液一般検査
(イ)生化学的検査
(ウ)免疫学的検査
(エ)微生物学的検査
C 定期的に臨床検査の精度管理を行っていること。
D 外部の精度管理事業に参加しているこ
と。
E 臨床検査の適正化に関する委員会が設置
されていること。
■ 質問と回答
Q:うちの病院は検体を臨床センターに渡して後日検査結果用紙を頂きます。容器などは外注になりますが、検体検査管理加算はとれないという考え方でよろしいでしょうか?
算定用件には「院内で検査を行っている医療機関〜」とありますので、外注では算定用件を満たさないと言うことになりますね。 (回答者 ヒロさん)
Q:検体検査管理加算(T)40点はどんな場合に算定出来るのでしょうか?
検体検査判断料を算定した時に算定できます。
これは届出が必要になります。 (回答者 ヒロさん)
Q:外来迅速検体検査加算ですが改正以前は当日に行なった全ての検査結果がわからないと算定できませんでしたが、今回の改正では全ての検査がわからなくても5項目まで算定できるのではないのですか?
この文面で間違いはありません。
ただ誤解を招きかねませんよね。
厚労省が定めた検査については全てその日のうちに結果を出さなければなりません。定めていない検査については結果が出なくてもかまいません。しかし、定めていない検査は迅速加算は算定できません。
(回答者 ヒロさん)
Q:生1の検査(BS.TP.GOT.GPT.TG.T-CHO.HDL-CHO.など)10項目以上とHBA1C、PTを1日に実施した場合。院内検査・当日に結果を文書にて説明できるものは当院ではBSとPTです。外来迅速加算は×2ではないですか?(BS.PT分)
現在はこう認識しております。

・厚労省が定めている迅速加算算定対象の検査のみを実施した場合
→すべての検査について即日で結果を出して提供・説明を行わないと
 迅速加算は算定不可

・厚労省が定めている迅速加算算定対象の検査と他にも検査を実施。
→迅速加算対象検査については全て算定要件を満たす必要があるが、
 その他の検査については関係なし。


しかしくどくど言うよりも結局はヒロさんの説明が一番分かりやすいですね…

厚労省が定めた検査については全てその日のうちに結果を出さなければなりません。定めていない検査については結果が出なくてもかまいません。しかし、定めていない検査は迅速加算は算定できません。


このケースの場合「生1の検査(BS.TP.GOT.GPT.TG.T-CHO.HDL-CHO.など)10項目以上とHBA1C、PTを1日に実施した場合。院内検査・当日に結果を文書にて説明できるものは当院ではBSとPTです。」
では外来迅速検体検査加算は算定できません。(回答者 くりぼうずさん)
この場合、くりぼうずさんの言っている通り迅速加算はまったく算定できません。
白本のP723に記載されている「厚労省の定めた検査」の中で、10項目の検査依頼があったとします。
そのほかにP723「厚労省の定めた検査」以外に(そこには記載されていない検査ということ)3項目の検査依頼があったとします。まず、迅速加算が算定できるのは先の10項目についてだけです。そしてその10項目は全て結果が当日に出なければなりません。
13項目の検査依頼があったとしても、厚労省の定めた検査10項目について結果が出れば迅速加算を算定して良いですよということです。以前は13項目全ての結果出しが必要でした。
(回答者 ヒロさん)
Q:検査で外注があっても、それ以外の検査で文書にて情報提供すれば外来迅速検体検査加算を各5点とれると考えてよろしいのでしょうか?
大前提として、外来迅速検体検査加算の算定できる検査は別表9-2に書かれている検査のみです。この中の検査で3項目検査依頼があったとします。他に・・・抗核抗体検査(外注としましょう)の依頼がありました。3項目については当日中に結果を出し、患者さんに文書で報告の義務があります。ANAについては結果が出なくても3項目分(5点×3項目=15点)は算定可能です。以前はANAも結果が出なくてはいけなかったと言うことです。しかし、今日の時点でなんか雲行きがおかしい・・・まだ、はっきりと確認したわけではないのでなんともいえませんが・・・。
とりあえず、雲行きは無視してそううことです。 (回答者 ヒロさん)
Q:例えば尿一般と赤沈は院内で検査を実施するので、条件を満たすことが可能であるが、他の検査は外注のため、条件を満たしていない診療所の場合。ある患者さんに尿一般検査のみを実施して、他は特に検査は実施しない場合、説明した上で文書により情報を提供し、当該検査の結果に基づく診療が行われていても、外来迅速検体検査加算は算定できないのでしょうか?
この場合は算定可能です。9-2の全ての検査結果を出すのではなく、9−2に書かれている検査の中で、依頼のあったものについて全てと言う解釈です。 (回答者 ヒロさん)
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■ 解説
前回06年の改定で創設された外来での実施検査の当日説明等が要件の外来迅速検体検査加算は1点×5項目を5点×5項目に変更されます。

また、通知等が出ないと明確にはなりませんが、検査項目も指定されるようです。
そうなれば、現在の当日結果が物理的に出ない培養検査等を同時に実施した場合に算定できないという矛盾が解消されそうです。

検査判断料は、血液学的検査判断料が10点、生化学的検査(T)判断料が11点引き下げられました。
両判断料が対象となる検査項目は多いので、多くの医療機関で減収になるでしょう。

生化学的検査(U)判断料は逆に9点引き上げられていますが、この項目の検査実施頻度はあまり高くありません。
また、検体検査実施料も汎用的なものは引き下げとなりました。
院内検査体制を評価した検体検査管理加算は現行の(U)300点を(V)にして、(U)100点が創設されました。
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